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2016/09/07

 
 
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授業用プリント

生物学概論 I : 1章 細胞の概要.pdf2章 細胞の分子.pdf3章 酵素と代謝.pdf4章 Energyの流れと代謝①.pdf5章 Energyの流れと代謝②.pdf6章 細胞と外界.pdf7章 細胞遺伝.pdf8章 細胞の発生と分化.pdf9章 分化細胞の機能と構造①.pdf10章 分化細胞の機能と構造②.pdf生物学概論Iワークシート.docx


細胞生物学 : 1章 光学顕微鏡と電子顕微鏡.pdf2章 環境と恒常性.pdf3章 遺伝情報の発現.pdf4章 転写.pdf5章 翻訳.pdf6章 遺伝子発現の調節.pdf7章 細胞内輸送.pdf8章 情報伝達.pdf9章 細胞周期.pdf10章 環境応答と情報処理.pdf.


専修基礎ゼミ(理科) Science Writing.pdfImageJ の使い方.pdf


動物系統学(集中)  (配付).pdf, (配付).pdf, (配付).pdf, (配付).pdf, (配付).pdf, 10(配付).pdf, 11(配付).pdf, 12(配布).pdf, 13(配付).pdf, 14(配付).pdf, 15(配付).pdf, 小テスト(3).pdf, 小テスト(4).pdf, 小テスト(5).pdf, 小テスト(6).pdf, 小テスト(7).pdf


新理数基礎ゼミ(生物) 高い階層.docThe Limits to tree height


生物学実験で使用するプランクトン図鑑 「奈良公園 鷺池 プランクトン図鑑」のPDF (Sagi Ike Plankton Pict Book (comp).pdf)




  1. I.夜光虫の培養法 Culture Method of Noctiluka

(田村万由子 2006 奈良教育大学自然誌専修卒業論文より抜粋・改変)


    夜光虫(Noctiluca scintillans)は,熱帯から温帯までの沿岸域に広く分布する原生動物である.和名の“夜光虫”が示すように,生物発光を行うことで有名である.夜光虫の細胞はナス型をしており,長径は約 1 mmと大きく肉眼でも確認できる(図 1).体の内部はほぼ液胞が占めており,浮遊して生活する.細胞の一部が溝状に凹んでおり,その奥に細胞口がある.夜光虫は触手から粘着物質を出すことで餌細胞を捕らえ,捕らえた餌細胞は細胞口へと運ばれる.通常,細胞口の近くには直径約 30 μm の大きな核が見られる(図 1,矢印).核周辺からは,細胞外殻内側に放射状に糸状の細胞質が伸びている(図 2,矢印).夜光虫は,赤潮の主な原因生物と考えられている渦鞭毛虫類に属し,世界的に分布する発光プランクトンでもある.一時的に起こる異常増殖により,赤潮中に約 140 cells/ml の高い密度で発見される事も知られている.



1 Noctiluca scintillans の成体A,側面像;B,腹面像;矢印,細胞口; Bars, 100 μm.



2 Noctiluca scintillans の核の位置A, DAPI 染色像.B, Aと同じ細胞の光学顕微鏡像.矢印,核の位置を示す. Bars, 100 μm.


    夜光虫は通常,無性的に 2 分裂で増殖を行なうが,環境状態によっては自然発生的に配偶子形成を始め,有性生殖を行なうことも知られている(Zinmark, 1970; Schnepf and Drebes, 1993).しかしながら,配偶子の融合後の発生過程についての知見が不十分であり,その生活環が十分に解明されていない生物である.人工の培養下においても成体の大部分が分裂をする中,一部では自然発生的に配偶子形成が観察される.この配偶子形成段階が有性生殖段階と考えられている(Fukuda and Endoh ,2006). 有性生殖が始まると,遊走子母細胞の形成が始まり触手や細胞口を含む細胞小器官がなくなり,細胞の形がなす型から丸く変形し,核が細胞膜直下に移動する(図 3-2).そこで 2 回の連続する核分裂を行った後,形成された 4 つの核のそれぞれが核周辺の細胞質を伴って膜の表面に出っ張り(原遊走子)として飛び出す(図 3-3).原遊走子は膜表面で分裂し,最終的に 256~1024 まで増加する(図 3-4,5).この 4 つの核で起こる連続した分裂は,同調しており,この 4 つの核集団が細長い細胞質ネットワークにより繋がれていることにより起こるとされている.分裂が終わると 4 つの集団は失われ原遊走子は細胞表面上の一部分に均一に分布されるようになる(図 3-6).原遊走子の分裂完了後,遊走子の成熟が細胞の内部で行われ,原遊走子の細胞質が減少していくとき遊走子の後方部が外側に露出するようになる(図 3-7).同時に,2 つの活発に動く鞭毛が成長し始め,培地である遊走子母細胞より遊走子(図 4A)が放出される.遊走子を放出した後の母細胞は透明なゼラチン質の球体(ghost cell)となる(図 3-7’).


3 Noctiluca scintillans の生活環.


    放出された遊走子は長さの異なる 2 本の鞭毛を持ち(図 4B,矢印),短鞭毛は活発に打っていて泳力を生み出し,長鞭毛はたなびいていて方向をコントロールする役割を持つと推測されている(Fukuda and Endoh, 2006).遊走子形成から接合子形成に至る過程については,同型配偶子説と異型配偶子説とが報告されている.同型配偶子説については,Zinmark(1970)により報告されている.また,同型配偶子説を指示するFukuda and Endoh(2006)により,遊走子は遊走子同士の接合により4本の鞭毛と2つの核を所有した紡錘形の接合子(図 3-9, 図 4C)を形成し,徐々に接合子の鞭毛が消失し球形の細胞へと変形するとされている.その後,成体と同様の触手が形成され,成体と同様の機能を持つ非常に小さな細胞となり(図 3-10, 図 4D),徐々に細胞のサイズを増加し成熟した成体へと成長する.

    一方,異型配偶子説については,Schnepf and Drebes (1993)が,成体を雌性配偶子,遊走子を雄性配偶子とし,雌性配偶子である成体が誘引力をもち雄性配偶子である遊走子をひきつけ,成体と遊走子の間での接合を起こし(図 3-11),新たな成体(図 3-1)となると報告している.しかしながら,どちらの報告においても単一個体から成体までを追った継続的な観察がないことから,成体や遊走子の核相すら明確ではない.



4 Noctiluca scintillans の遊走子.A,側面像.Bar,10 μm;B,腹面像.Bar,10 μm; C,同型値配偶子.Bar,10 μm;D,非常に小さな生体.矢印,触手. Bar,100 μm.


    本研究では,2006 年 5 月 14 日に三重県津市津松坂港(図 5)で採集した細胞を用いた.夜光虫が海面付近を浮遊する性質をもつことから,採集は海面上の海水を約 10回汲み上げ,ポリタンク(18 l)に回収し,バブリング装置により常に酸素を供給した状態でもち帰った.


5 採集場所(三重県津市松阪港)


培養: 採集した細胞は滅菌したディプレッションスライドを用いて,人工海水(Red Sea FishPharm Ltd, Isreal)で 5 回ずつ洗浄した.人工海水はフィルター滅菌(47 mm ポリサンホン・フィルターホルダー(KP-47H,ADVANTEC)に 0.2 μm 孔径をもつセルロースアセテートフィルター(C020A047A, ADVANTEC)をセットした)したものを使用した.滅菌操作は,クリーンベンチ内でポータブルアスピレーター(MDA-015, ULVAC KIKO Inc.)による吸引濾過により行った.餌細胞である Dunaliella  tertiolecta(図 6は,予め f/2(Si-)(Takayama, 1977)にて十分に増殖させ,これを上述の培養液に加え,夜光虫を培養した.培養容器としては,試料カップ 120B(ケニス)を用いた.インキュベーター中で, 20 ± 1℃,12 hr light/12 hr dark の条件化で培養を行った.培養液は,7 日おきに十分に餌細胞を増殖させた新鮮なものに移し変えた.



6 Dunaliella tertiolecta の光学顕微鏡像.矢印,2 本の等長鞭毛を示す. Bar,10 μm.


    培養実験結果を,図 7 に示している.餌濃度が増加するに従って,夜光虫の細胞数も増加する様に観察され,餌濃濃度が,2×10 cells/ml の時()に最も高い増殖率を示した.一方,2×10 cells/ml 以上の餌濃度()では,逆に増殖率の減少が観察され,このことから最適餌濃度は, 2×10 cells/ml と考えられた.


7 各 Dunaliella 濃度における Noctiluca の増殖曲線.縦軸に 1 培養容器中の Noctiluca の個体数を,横軸に培養日数を示している.各プロットは,3回の培養で得た平均の個体数を,エラーバーは,そのプロットにおける標準偏差の値を示している.






  1. II.クラゲの飼育法 Cultivation Method of Jellyfish

(松本由梨 2005 奈良教育大学 自然誌専修 卒業論文より抜粋・改変)


 ミズクラゲ(Aurelia aurita)は,成体では浮遊生活を行い,幼体のときは固着生活を行う(図 1). ミズクラゲの成体(図1, adult)は,体の成分の約95%が水から成り,形状は浅い半球状で直径約 20 cm,乳白色をしており,日本全土の沿岸に生息し冬から夏にかけて見られる.体全体の収縮運動と拡張運動を繰り返しながら泳ぐが,遊泳能力は弱い.他のクラゲ同様にカプセル状の刺胞を持つが,同じ旗口クラゲ目に属するアカクラゲやオキクラゲなどに比べて毒は非常に弱く,集団になって刺されない限り人体に影響はない.

 メスの胃腔内で受精した受精卵は,生体のメスの口腕にある保育嚢で発生し,繊毛が生じてプラヌラ幼生(planula)となり,やがて海中に泳ぎ出る.数日の遊泳後に付着基盤を見つけると,そこに付着し変態を開始する.やがて触手が発達してポリプ(scyphopolyp,図 2)とよばれる形態となる.ポリプは上部中央に口が開いており,触手を伸ばして餌を捕食する.摂食により成長し,徐々に体に環溝ができ始める.やがてこの環溝にそってストロビレーション(strobilation)とよばれる横分裂を起こして,ストロビラ(strobila)を生じる(図 3).ストロビラには,8 枚の縁弁が形成される.このストロビラから浮遊生活個体としてのエフィラ(ephyra)が放出される(図 4).エフィラは成長し,やがて成体のクラゲとなる.これがクラゲの生活環である(図1).



1 Aurelia aurita の生活環


 エフィラが遊離放出された後も,根元の部分はポリプとしてそのまま生存を続ける.ポリプは,栄養状態が良好な環境にいる場合,二分裂,あるいは,植物の根のような形をした走根(stolon)上に新しいポリプを出芽により形成するといった無性生殖を行うこともある(図 5).また,1 個体のストロビラから数〜数十個体のエフィラを生じることが多く,こうした多様な増殖能力がクラゲの大量発生へとつながると考えられている(安田,1998; 上, 2004).ストロビレーションを起こす要因としては,さまざまな報告があり,水温のほか,特に餌条件,つまり富栄養あるいは貧栄養状態かがカギとなっているとも言われている(上,2004).また,ポリプは固着生活を送るため,餌が不足するなどの栄養条件の悪化が起こると,現状より好い環境を求めてストロビラを放出するのではないかと考えられている.



2 Aurelia aurita の polyp                            図 3 Aurelia aurita の strobila



4 Aurelia aurita ephyra                         図 5 Aurelia aurita の 出芽の様子.


培養: 直径約 1 mmのミズクラゲのポリプを,直径 20 cm ,深さ約 3 cmのシャーレの底または壁面に固着した状態で,1 日 12 時間の明暗サイクル下で飼育した.培養溶液としては,人工海水アクアフォーミュラ−(日本動物薬品)を使用した.培養シャーレはインキュベーター(SANYO)内に置き,水温を 20 ± 1℃ に保て飼育した.餌には生物としては,卵から孵って 7 日以内のアルテミア(Artemia 属)幼生(MATERIALS参照)を用いた.

 ポリプには眼点もなく,積極的に餌を探すことはしない.そのこのため,ポリプの触手まで餌をパスツールピペットでポリプの触手まで持っていき,給餌を行ったした.食べ残しや排出物で汚染されるので,給餌後,海水の交換はは毎回行なった.ストロビラから放出されたエフィラは遊泳力が非常に弱いため,水流のないシャーレ内では,底面に貼り付いて身動きができなくなり,死んでしまうこともしばしであった.深さ約 20 cmの水槽(テトラジャパン)内に,細かい泡が出るよう出口の口径が小さいチューブを取り付け,エアポンプを設置して 24 時間継続して空気を送り込むことにより水流を発生さ,エフィラが常に遊泳できるようにして飼育した.


    下の図 6 は,飼育下のエフィラ発生の一例である.この図では,ポリプに3週間全く餌を与えない期間(飢餓処理)を設け,さらに週に 4 日飽食するまで餌を与えていたポリプから発生したエフィラの個体数推移を示している.ストロビレーションの開始を観察してから 8 日後,最初のストロビラがエフィラを放出した.その後すべてのストロビラが,エフィラを放出する 2004 年 11 月 19 日までのエフィラの個体数変化を表した.図からも判る様に,最初のエフィラが出現してから,1 月弱という短い機関で,エフィラの個体数は約 10 倍にも達していることが判る.狭いシャーレーの中でも,300 を超えるエフィラが発生することが可能であった.実際の海の中では,群生する集団の中からもっと大規模な発生が度々起こることが推測される.

 餌を捕食出来ない飢餓環境下での観察を,継続して行った場合は,約 6 ヶ月もの間生存出来ることも判った,飢餓個体は,触手は短くなるものの機能しており,餌を与えると捕食することが可能であった.このように飢餓に対する耐性も比較的高いと考えられる.


6 Ephyra の発生個体数の変化.縦軸に ephyra の個体数を,横軸には ephyra 発生後の日数を示している.尚,この測定は,2004年10月25日〜2004年11月19日に行われた.







  1. III.クワガタの飼育法 Rearing Method of Stag Beetle


クワガタムシ(Lucanidae)の仲間は,カブトムシと並んで児童に人気のある昆虫であり,近年ではペットとしても人気を博している.これにより日本では,外国産の昆虫が簡単に入手できる環境にあり,ホームセンターなどで比較的簡単に購入することができる.しかし,一方では,飼育出来なくなった外国産の昆虫を放虫することが問題視される現状にある.移入種による問題は,概ね人間の活動によって引き起こされているが,文明の発展と共に,恣意的にも偶発的にも起こって来ている.移入された種の環境適応能力が高い場合には, 移入種による現存種の駆逐が懸念され,ニッチが重なる種の淘汰や遺伝子撹乱と云った危険性もあり,種の多様性の観点からも注意を払うべき問題である.ここでは,国産のクワガタムシの中でも,特に飼育法が比較的一般的化していると考えられる Dorcus 属に属するオオクワガタ(D. curvidens)の飼育法を紹介する.この属には,この他,日本の里山で比較的簡単に見つかるコクワガタ(D. rectus)や,ヒラタクワガタ(D. titanus),アカアシクワガタ(D. rubrofemoratus), ヒメオオクワガタ(D. montivagus)などが挙げられる.

成虫飼育:飼育容器は,市販の小型の飼育容器で十分である.餌としては,市販の昆虫用ゼリーを用いる.餌皿や木の葉や木屑マットは必ずしも必要では無い.キッチンペーパーに水を湿らせた状態でも飼育可能である.本研究室では,この方法で四年間生存した記録がある.また,樹洞に潜んで生活する性質からも,広い空間は必要としないように考えられる.注意するべき事は,極度の乾燥が続くことや,30℃ を超える温度が続くことであろう.


産卵: 産卵をさせたい前年の晩秋,ペアリングする雌雄の虫を同じカゴにいれて越冬させる.越冬中は活動も弛み,雌雄が傷つけあう事は無いように観察される.越冬から目覚める頃には両者は,十分に成熟しており,春頃には交尾行動が観察される.

1.温度は 25℃ 以上ならば十分に産卵する.外気温の変化に任せておけば温度制御の必要は無く 5~6 月頃には産卵が可能となる.        


2.産卵には,椎茸栽培に使用されたホダ木を使用する.これを体積の 30% 程度を目安に加水する.加水前にホダ木を電子レンジにて 3 分ほど熱すると良い. 肉食のキマワリの幼虫などが既存の場合は,クワガタの幼虫が捕食される可能性があり,こうすることで,ホダ木の中の他の生物がある程度死滅する.これは,また,一種の滅菌操作でもあるが,完全なものでは無く,幾分残留する細菌により,以後の加水時の木の腐食を助けることとなる.クワガタのメス親が木をかじる時には,クワガタが共生させているセルロース分解酵素を持つ細菌類を移植することになるが,軽い滅菌操作は,これらの繁殖を助けることになる.人為的に加水する際に幼虫の糞を水にまぜると,同様の効果が期待されるが,興味深いことに,この処理により産卵率が向上するように観察される.細菌の移植・繁殖によるホダ木の変化を,親虫は識別しているのかもしれない.


3.加水したホダ木と一緒にメスを同じケースに入れる.まわりにオガクズを入れる必要は無い,ホダ木だけでも十分に産卵する.産卵させる期間は,約 2 週間程で十分であり,暗所で飼育しておけば,約 14~20 個程の卵を産む.



.2 週間経過後,親をホダ木から離す.ホダ木は,そのまま乾燥しないように注意し,さらに 2 週間ほど放置する.卵は,6~7 月の気温であれば,約 2 週間で孵化する.したがって,産卵を始めさせてから都合1月後に,ホダ木を割って,幼虫を取り出すことができる.この頃までには,親から移植されたセルロース分解酵素を持つ細菌類の繁殖により,木は柔らかくなっている.道具無しでも割る事ができる程である. 上図に示す様に,産卵は木の表面に行うため, 木の皮を剥ぐようにして表面から割っていく.

            メスがかじった場所あたりを注意深く観察すると,幼虫の食痕が現れたり,産卵時にメスの産卵管を押し付けて作った丸い小さな孔に卵が見つかる.産卵後にメスは,噛み砕いた木屑でフタをしているので,これも卵を発見する目安になる. ホダ木は,当初カビが繁殖することがあるが,メスが木をかじり始めると,カビは消失するように観察される.


5.回収した幼虫は,すぐに幼虫飼育用のマットや菌糸瓶に入れて飼育する.卵で回収してしまった場合は,ティッシュを敷いたタッパやプリンカップに卵を転がしておいて,毎日 1 回の割合で霧吹きをすると,2週間程で孵化する.黒く変色したり,卵が潰れていたりする場合は,孵化しない.


幼虫飼育:幼虫飼育は,おおまかに分けて次ぎの3つの方法が知られている.1)木屑マットによる飼育.2)発酵マットによる飼育.3)菌糸瓶による飼育.これらのどの方法でも構わないが,大きな成虫を育てたい場合は,3)の方法が望ましい.3)は,1990 年代より開発された方法であるが,現在では最も一般的な方法として,3)良く用いられている.幼虫飼育は,広い容器であれば,基本的には集団で飼育しても構わない.自然環境における材の中では,近接する個体間で,脚の発音器により音をだして牽制しあうということが知られているが,菌糸瓶や飼育マット中では,この信号が上手く伝わらず,互いを傷つける場合があり,個別に飼育した方が望ましい.


1.マット(落葉広葉樹の木クズ),発酵させたマット(落葉広葉樹の木クズを発酵させたもの),あるいは,菌床(落葉広葉樹の木クズにキノコを植菌したもの)を入手し,それらを虫カゴ(小ケース)や 800 ml 程の瓶につめる.これらは,100 円ショップで購入できるが,詰める作業用にすりこぎ棒や麺棒も同時に購入する.木屑や菌床のフレークを瓶に入れ,上述の棒で詰めて行く作業である.堅さは,柔らかいホダ木をイメージすれば良い.         


2.この瓶に,幼虫が入れる程度の孔をあけ(初令であれば人さし指が入る程度で構わない),その孔に幼虫を投入する.


3.幼虫飼育も基本的にはあまり手間がかからない.一旦瓶に投入した後は,放置するだけである.幼虫が食べた後の食痕が観察され,瓶が黒ずんでしまったら,瓶を交換する作業をくり返しす(2~4 ヶ月に 1 度).約 1 年間で成虫になる.温度も,7月頃に幼虫を回収したのであれば,暗所にて室温で放置していれば,大丈夫である.床下収納などがあればさらに最適であると考えられる.


4.蛹化時期や羽化時期は,極力触らないことが肝要である.ただし,蛹から成虫への変態を観察したい場合は,蛹化の確認の後(瓶底に耳を当て,瓶を傾けると蛹が体制を立て直すために,尾部を蛹室にあてるため,コトコトと音がする),瓶上面からゆっくりとスプーンで注意深く掘り進む.蛹室の位置が外から判別できる場合(下図を参照)は良いが,判別出来ない場合はそれなりに注意が必要である.幼虫は,通常脱出用に小さな窓をつくるが,これは本来木の表面近く樹皮の内側部分に形成する.瓶飼育している場合は,瓶の壁をそれと認識するためか,瓶壁に窓が空いた状態が良く観察される.




.羽化を観察したい場合は,下図のように蛹室の上部を開けた形で観察しても良い.また,園芸用のオアシス(6.の説明後の図を参照)を準備し,これを蛹室に似た形状に加工する.オアシスは,柔らかい素材であるので,スプーンを用いて加工が可能である.加工が済んだオアシスは,オアシス体積の 5 割を目安で加水する.




.25~27℃で飼育している場合であれば,約 4 週間で羽化する.本研究室の飼育下では,雄の場合が,平均 27.9 日,雌の場合が,平均 27 日であった.また,それ以下の低い室温の場合であれば,それ以上の日数が必要とされる.




飼育結果 Results



上図は,2011~2012年の飼育記録である.また最下段のグラフは,幼虫の体長推移と室温や外気温の推移をプロットしたものである.グラフから判る様に,孵化後 150 日の交換で最大体重が記録されている.数年間の記録をもとに,平均成長曲線を描き(data not shown),そこから統計的に計算された最大体重に到達する日数は,雄で約 185 日,雌で約 175 日であった.

 これまでの全てのデータを以下の二つの表にまとめてみた.ここでは,推定される最大体重や,蛹の体重,さらには成虫の体重までもが読み取れる.しかしながら,不十分なサンプルから得られた統計的値であり,推測の域を出ないものである.本質的に,変態を行う昆虫において,幼虫の体重から成虫サイズを推測することは困難であり,あくまでも一つの目安と考えて頂きたい.


   




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MATERIALS


Noctilucaの採集

Noctilucaは,海面付近を浮遊する性質を持つことから,海面近くの海水を,バケツやポリタンクのようなもので,直接汲み上げ研究室に持ち帰り,しばらく静置した後に,採集した海水の上澄あたりをすくいとり,比較的大きめのシャーレに入れて観察すると良い.プランクトンネットを曳く場合でも,水面を曳供養にして採集する方が望ましい.


f/2(Si-)medium

NaNO3 :75 mg

NaH2PO42H2O:6 mg

Vitamin B12 0.5 μg

Biotin: 0.5 μg

Thiamine HCl: 100 μg

f/2 metals: 1 ml     -------①           

Sea water:999 ml  --------②


f/2 metals

Na2EDTA・2H2O:440 mg

FeCl3 ・6H2O:316 mg

CoSO4 ・7H2O:1.2 mg

ZnSO4 ・7H2O:2.1 mg

MnCl2 ・4H2O:18 mg

CuSO4 ・5H2O:0.7 mg

Na2 MoO4 ・2H2 O:0.7 mg

DDW:100ml


Sea water

Red se Salt:333 g

DDW:10 L



REFERENCES


Fukuda, Y., Endoh, H. 2006. New details from the complete life cycle of the red-tide dinoflagellate Noctiluca scintillans (Ehrenberg) McCartney. Eur. J. Protistol. 42, 209-219.


Schnepf, E., Drebes, G., 1993. Anisogamy in the dinoflagellate Noctiluca? Helgolander Meeresunters. 47, 265-273.


Takayama, H., 1977. Culture of Noctiluca scintillans. Bull. Plankton Soc. Japan 24, 159-86. [in Japanease]


Zingmark, R. G., 1970. Sexual reproduction in the dinoflagellate Noctiluca miliaris Suriray. J. Phycol. 6, 122-126.



3-4 に対応
図3-5 に対応
図3-6 に対応
図3-7 に対応
図3-7’ に対応(ghost cell)
図3 無性生殖中の分裂細胞に対応



































































































MATERIALS


Aurelia aurita の入手

三重県にある鳥羽水族館飼育研究部学芸員堀田拓史氏ならびに上岡岳氏の厚意により,受精卵の状態で分与して頂いた.


アルテミア の入手

乾燥卵は,熱帯魚の餌としてペットショップで取り扱われている.これを人工海水中に入れて室温で管理すると,1 日程で孵化する.これを餌として用いる.



Artemia sp. のノープリウス




REFERENCES


上真一 2004. 瀬戸内海におけるミズクラゲの増加と漁業被害.日本水産学会誌. 70, 387-391.


安田徹 1998. ミズクラゲの研究. 日本水産資源保護協会, 東京,136pp.

















































































































MATERIALS


成虫用


• 飼育容器(虫カゴ)   

    W180 x D110 x H130

  1. キッチンペーパー

中の敷物,転倒防止)

• 昆虫ゼリー(餌)

  1. サランラップ(キリで孔を

    開 けて保温シートとして使

    用)

   


産卵用


•  椎茸のホダ木(ホームセン

    ターで入手可能)



幼虫用  


• プリンカップ

• 広葉樹の木屑マット

  1. マヨネーズ瓶(ガラス)あ

    いはブロー容器(800 ml)

  1. 麺棒またはすりこぎ棒

• 菌糸瓶

    様々な菌糸瓶が市販されて

    いるが,ホームセンターで

    購入するよりは,ネット

    で注文宅配が安い

• 園芸用オアシス



REFERENCES


Hosoya, T. and Araya K. 2005. Phylogeny of Japanese Stag   Beetles (Coleptera: Lucanidae)  Inferred from 16S mtrRNA Gene  Sequences, with Reference to the  Evolution of Sexual Dimorphism  of Mandibles. Zool. Sci., 22,  1305-1318.


荒谷邦雄.  2012. クワガタムシ, 研究者が教える動物飼育 第 2 巻,昆虫とクモの仲間.針山隆彦・小柳光正・嬉正勝・妹尾圭司・小泉修・日本比較生理生化学会(編),共立出版,東京,pp.104-121.